ブログ名「波の下にも都はあるんだよな…」に込めた思い

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当ブログのブログタイトルは、ご覧の通り「波の下にも都はあるんだよな…」というものです。
これは平家物語の有名な一節「浪の下にも都の候ぞ」から取っています。
このような自殺を想起させる言葉をブログ名に冠したことについて、今まで特に取り上げてきませんでしたが、ちょうど大河ドラマで源平合戦をやっていたので、これを機にその説明をしておこうと思います。

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「鎌倉殿の13人」壇ノ浦回

昨日放送のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が、源平合戦のハイライトと言えるであろう壇ノ浦の戦いでした。
平氏軍が敗北し、安徳天皇が歴代最年少の数え年8歳(満年齢6歳)で入水により崩御されるあの場面です。

本作での菅田将暉演じる源義経は、目的のためなら手段を選ばないキャラクター性が強調されています。
壇ノ浦においても、自軍の兵に対して平氏軍の船の漕ぎ手を射ること、すなわち非戦闘員の殺傷を強要し、義経自身も船から船への八艘飛びは狂戦士さながらの闘いぶり。
それだけに、安徳天皇を抱きかかえた女官が入水自殺する様子を目の当たりにした義経の「嘘だろ?」という台詞は、天皇の入水など(粗暴な義経でさえ目を疑うほどに)絶対に考えられない行為だったという点を端的に示す絶妙な演出でした。

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「平清盛」における「海の底にも都はございましょう」

「鎌倉殿の13人」は「吾妻鏡」を下敷きとしているため、安徳天皇を抱いて入水する役回りは女官の按察使局(あぜちのつぼね)でした。
二位尼(平時子)は三種の神器のひとつである宝剣とともに入水しています。
入水自殺に際して台詞は一切なく、源氏の視点から見た「手出しができない」という描写もあって、無言の投身には過去に見た作品の描写とは全く異なる方向の凄みを感じました。

とはいえ、このシーンといえば「平家物語」にある「二位尼が安徳天皇を抱いて入水」の方を思い浮かべる人もやはり多いのではないかと思います。
そして、大河ドラマでいうなら個人的に印象深いのが、松山ケンイチ主演の「平清盛」です。
二位尼を演じる深田恭子が老けないまま、最後まで普通に深キョンだったのはまあ置いといて、その二位尼が安徳天皇とともに入水する際の台詞が「海の底にも都はございましょう」でした。

あー。そうか。海の底にも都はあるんだよな。

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命を絶った身近な人に思いを馳せながら

私は現状、幸いにも一応健康に暮らせていますが、これまでに死のうと思ったことは一度や二度ではありません。
何度か自殺未遂も起こしています。
鬱病や発達障害と暮らしてきた方には、そのような方も少なくないでしょう。

また、私は叔父を自殺で失っています。
同世代でも自殺した友人がおり、生前最後のやり取りで彼が語った「理想の自分と現実の自分の落差に耐えきれない」という言葉は未だに忘れられません。
私自身も日々、自分の理想像と現状のギャップを噛み締めながら生きています。

でも、(若い頃は全くそんなふうに思いませんでしたが)やっぱり死んじゃったらダメなんですよ。
人が自殺する権利を奪おうとは思わないし、私も自殺しようとしている時に邪魔されるのは絶対勘弁してほしいですが、それでも「命あってこそだ」と思うようになりました。
そのきっかけこそが、実は「海の底にも都はございましょう」でした。

別に今死ななくてもいっか

「海の底の都」は私に、生きていく不思議な理由付けを与えてくれました。
「海の底の都、マジで栄えてそう!完全に無理になったら最悪そこ行きゃいいやw」

希死念慮そのものが消失したわけではないのですが、私にとっては、「自殺を肯定する自分自身を完全に茶化す」ということが精神的な安定に繋がったわけです。
下ネタのネットスラング「〇〇にも穴はあるんだよな…」の体裁を用いていることからもお察しの通り、「波の下にも都はあるんだよな…」は明らかにふざけた表現であり、「死のうと思ってたけどなんかバカバカしくなっちゃったからまた今度にしよう」というノリを表したいと考えた結果です。

このように自殺をネタ的に扱うことについて、批判的な意見もあるでしょう。
しかし私は自殺願望に関し、「自分なりの折り合いをつけること」が最も重要だと考えています。
人が何を言ってこようと自分が納得できればそれでよく、それによって一人の命が救われるわけです。

私は宇垣美里が言っていた「その人それぞれに地獄があり、私には私の地獄があるし、あなたにはあなたの地獄がある」という言葉がとても好きです。
自殺した人に「まさかあの人がそんな…」というのは簡単ですが、「自分以外の人は幸せなはずだ」というのは所詮思い込み、隣の芝生でしかありません。
(「宇垣美里が自分みたいな苦労をしてるわけがない」と毒づきたい気持ちは重々理解しますが、実際彼女は彼女で相当大変でしょう)

どのような理屈であれ、自殺を思い留まり、地獄を生きる決意をしたことに文句をつけられる筋合いなどないのです。
どんな無茶苦茶な論拠であっても、人それぞれの死なない理由付けが見つかればと心の底から思います。

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