【適性検査】発達障害が不適性検査スカウターを受けた結果

発達障害(ASD)の診断により障害者手帳の交付を受け、転職活動(というか再就職活動)を始めてからしばらく経ちました。
そして先日、書類選考を通過した企業の採用試験で適性検査をウェブで受けたのですが、届いたメールのリンクURL「tracs.jp」を元に調べてみると、それが「不適性検査スカウター」でした。
私は企業の人事部門、すなわち「採用する側」にいたこともあるのでこの「スカウター」の存在を知ってはいましたが、実際に導入したことはなかったので、受ける側としての体験と感想を記録しておこうと思います。

・適性検査とは

就職活動・転職活動の経験がある方はご存じでしょうが、一応簡単に「適性検査」について説明しておきます。
適性検査とは、人を雇う選考の過程で、履歴書や面接だけでは測れない部分を数値化するために使われるテストです。
SPIが定番ですね。

SPIをはじめとした適性検査の多くは、「能力検査」と「性格検査」に分かれています。
・能力検査…語彙力や思考力、計算力をみるための学力テスト
・性格検査…正解のない質問に対し、「そう思う」「どちらでもない」「そう思わない」のような選択肢から答える性格テスト

実はこの適性検査、対策法は多く出回っています。
それこそAmazonの就活カテゴリーで「適性検査」で検索すれば参考書がたくさん出てくるので、出版年が新しめの書籍で評価が高いものを買ってやり込めばOKです。

・就活や転職で重要な「性格検査」対策

能力検査は問題の解き方を身につければいいとして、性格検査は対策のしようがないのでは?と思われるかもしれません。
しかし、性格検査にも事前の対策はあります。

ひとつ例を出すと、「自分だけの利益ではなく、社会全体の利益になる仕事をしたいと思う」という設問で、「全くそう思わない」と答えると印象が悪いような気がしますよね。
もちろん大嘘をつくのはいけませんが、ぶっちゃけ、この手の質問で少し自分を良く見せるような回答をする人は多いでしょうから、だいたいの人が「そう思う」と答えたくなると思います。
しかし、これが性格検査のトラップです。

例えば、先ほどの「自分個人の利益よりも社会の利益」という回答をしてからしばらく後、忘れたころに「社会の発展よりも、自分自身がビジネスパーソンとしてしっかり成長したいと思う」という設問が出てきたりします。
なんとなくこれにも「そう思う」と答えたくなりますが、そうすると先の「自分の利益より社会の利益」とは正反対の回答をしてしまうことになります。

このように、微妙に言い回しを変えた同じ趣旨の質問で、回答に一貫性があるかどうかも見られているのが性格検査です。
その場その場で考えながら自分を良く見せるような回答をしてしまうと、矛盾だらけの検査結果になってしまい、「嘘をついている可能性が高い、こいつはあまり信用できない人材だ」と判断されてしまうわけです。

しかし、そうと分かれば性格検査も対策が可能で、「自分の利益よりも社会の利益を重視するような方向で行こう」「仕事よりも友人や家族との時間を大切にするような方針で回答しよう」等、一貫性を意識すれば矛盾の少ない検査結果を出すことはできます。
中には、「企業のカラーに合わせてキャラを作り、求められる人物像に寄せた検査結果を出す」ということをやっている人もいるのでしょう。
対策本でも性格検査についてページが割かれていることが多いので、適性検査を受ける人の多くがこのような対策方法を事前に学習しているのではないかと思います(それがいいか悪いかは別として…)

・「不適性検査スカウター」について

さて、ここから本題です。
この検査は単に「スカウター」と呼ばれることも多いようです。

ウェブで適性検査を受ける際、案内メールや検査画面には「スカウター」の文字はありません。
しかし、URLに「tracs.jp」とあればそれは「不適性検査スカウター」だと判別できます。
以下、まずは公式サイトにも載っている情報で説明します。

「不適性検査スカウター」は、「能力検査(NR)」、「資質検査(SS)」、「精神分析(SB)」、「定着検査(TT)」の4種類の検査からなる、比較的新しい適性検査です。
資質検査・精神分析・定着検査と、性格検査に類する検査が3種類もあることが大きな特徴です。

大企業・中小企業を問わず、この「不適性検査スカウター」を採用している会社は増えているようです。
その理由のひとつが競合の適性検査と比べて導入費用がかなり安いことで、それもシェアを伸ばしている一因でしょう。
「実際に企業に出向く営業を一切行わない」等のコストカットにより、低価格を実現しているとのことです。

そして内容面の特徴が、その名前の通り「不適性をあぶり出す検査である」ことを前面に出している点です。
他の適性検査と比較して、ストレス耐性をはじめとするメンタル面の問題や、早期離職等の原因となるマイナス特性の分析を掘り下げることにより、企業サイドにとって「この人はうちの会社に合うかな?」という面だけでなく、「トラブルを起こす人材ではないか?」「サボり癖があったり、すぐに辞めてしまうのではないか?」「そもそも会社で働くのに向いていないのでは?」というネガティブ面、すなわち「不適性」の見極めにも比重を置いた検査となっているようです。

で、どうもこれが発達障害や精神疾患の立場の人から評判が悪いんですよね。
実際にネットで検索してみて、否定的な見方の意見を目にした方もいるかもしれません。

個人的には、この検査を導入している企業に対して「発達障害者を除外しようとしているのでは?」などという疑いを持ったりはしません。
前述の通り、コストが安いのが一番の導入理由でしょう。

とはいえ、検査の説明から「発達障害者の足切りに使えるテスト」みたいに見えてしまうことは事実。
実際その手の問合せも多いのか、公式サイトの「よくある質問」のページには「発達障害を診断できるのでしょうか?」という質問が載っていました(※回答は当然「診断はできません」というものですが)。

・不適性検査スカウターを実際に受けた感想

で、実際にやってみて。
確かに他の性格検査とは違う球を投げてくる印象です。
過去に受けた適性検査では見たことのない、性格のネガティブ面にかなり踏み込んだ質問が多かったです。

人間初めて見る問題には面食らってしまうもので、その場しのぎで回答したら一貫性のない結果になってしまいやすいのではないかと思います。
低価格なことに加え、対策本の類が出回っていないのも、企業が採用する理由の一つかもしれません。
SPI等、他のメジャーな適性検査の対策をしっかりやったうえで、見慣れない問題にも動揺しない心構えをしておくのが重要だと感じました。

・発達障害当事者として

設問の内容を完全に覚えているわけではありませんが、私が過去に心療内科の初診で受けた心理検査や、発達障害検査の過程で受けた一部のテストに近いものを感じたのは確かです。
あるいは、ネットでよくある「発達障害傾向チェック」みたいなものにも近い雰囲気と言えるでしょうか。
発達障害を抱える人がそれを隠してクローズ就労を目指すのであれば、この「不適正検査スカウター」は鬼門と言えるかもしれません。

とは言うものの、今回の私の場合、障害者雇用の採用試験過程でこの検査を受けています。
その場合は、発達障害特性に通じるものがある設問…これはまた例え話ですが、「タスクが複数あるとどれから手を付けていいか分からなくなる」みたいな設問があった場合、それに「全くそんなことはない」と答えてたらおかしいわけです。
このような設問には「全くそんなことはない」と答えたい人が多そうですが、今回の私は正直に「時々ある」と回答しました。

で、検査の結果、どうやら選考の足切りには引っかからなかったようで、無事採用試験の次の段階に進むことができました。
矛盾した回答が無いか、という点が重要視されたのかもしれません。

とはいえ、私と同じような状況の方が同じスタンスで検査を受けたとしても、選考を行う会社が違えば当然結果は変わってくると思います。
この記事の内容はあくまで参考としていただき、ご自身の納得がいくように検査を受けていただければと思います。

最後に、調べていると「適性検査でスカウターを受けさせられた、この会社に行きたかったのに志望度が下がった…」という感想を目にすることについて。
理解はできますが、先に書いたとおりスカウターは導入コストがとにかく安く、中小企業にとっては予算的にこれしか選択肢がないことも十分ありえます。
「適性検査に何を使っているか」と「会社がどのような人材を求めているか」にそれほどの相関関係があるとは思えませんから、その点を頭の隅に置いて就職活動を進めていただければと思います。

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タグ:障害者雇用

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