【発達障害とテレワーク】在宅勤務による障害者雇用の可能性

私は発達障害(ASD)の診断により、2019年に精神障害者保健福祉手帳(3級)の交付を受けました。
そして、幸運にも障害所雇用の仕事にテレワークで採用されました。
これをきっかけに考えたのが、障害者雇用の今後についてでした。

私の障害者雇用での就職活動については以前からこのブログで書いてきました。
「障害者雇用」のタグでまとめていますので、興味のある方は過去記事からお読みいただければと思います。

さて、私は一般就労のサラリーマンとして働いていた頃、人事系の仕事をしていた時期もありました。
正直に言うと、自分が障害者雇用で働くことになるとは思ってもみなかった当時のことを思えば、「障害者雇用に対する偏見など全く無かった」と胸を張っては言えません。
そこには、障害者を多く雇用している大企業にありがちな特例子会社という仕組みの存在があります。

2020年5月現在、障害者雇用率制度により「従業員が45.5人以上いる企業は、2.2%以上の割合で障害者を雇用しなければならない」と定められています。
仮に従業員が100人いる会社なら、2.2%は2.2人ですから、それ以上となる最低3人の障害者を雇わなければいけません。
そして、この割合を満たしていない企業には「障害者雇用納付金」を納付しなければならない等のデメリットが発生します。

これを回避するため、一定以上の規模の企業がよく採用しているのが、前述の特例子会社の設立という方法です。
その中でも定番なのが、「障害者だけを雇う子会社」を作り、主に軽度の知的障害者を雇用して、各グループ会社の清掃などといった単純作業に従事してもらうというパターン。
一定の条件を満たせば、この特例子会社で雇った障害者の人数を「グループ会社全体の障害者雇用の総数」として計算することもできます。

これはこれで重要なことだという点に異論はありません。
一般就労では働けない障害者に雇用を創出して賃金を支払うことは、確かな社会貢献です。
が、これが「障害者雇用」というものに対する先入観の一因となっているというのもまた事実でしょう。

そして、このような枠組みになじまない障害者の存在を見過ごしてはいけません。
例えば、車椅子で生活している身体障害者が清掃の仕事に従事するのは不可能です。
とはいえ、車椅子の人をデスクワーク職として受け入れるだけのバリアフリー環境をすぐに構築するのは中小企業には難しいというようなハードルもあって、障害者を雇いたい企業と働きたい障害者の間にミスマッチが発生していたのです。

この問題の解決策となりうるのがテレワークです。
在宅で仕事ができるのであれば、車椅子のためにオフィスの通路やトイレの広さを拡張する大工事は必要ありません。
電車や階段といった通勤経路上の障壁も問題にならないですし、企業サイドの副産物として通勤手当の支給も必要なくなります。

そして、テレワークは身体障害者だけでなく、精神障害者にとっても福音となりえます。
私の場合、テレワークによって「周囲の目線への恐怖」や「口頭での業務指示を正確に理解できない」等のストレスから解放されました。
また、満員電車は私自身も苦手ですが、例えば優秀な事務処理能力を持っているのにパニック障害で電車に乗れないという人にとって、まさに在宅勤務は最適なソリューションと言えるでしょう。

企業にとってのテレワーク導入のハードルとして、業務の進捗管理や情報セキュリティ面の問題があり、これまでは議題に上っても実現にはなかなか至りませんでした。
しかし、昨今の新型コロナウイルス騒動により、幸か不幸かそんなことを言っている場合ではなくなり、一気にリモートワーク環境の導入が進みました。
これにより、結果論ですが「障害さえなければバリバリ働いてみせるのに!」という障害者にとって、今後の障害者雇用に大きな道が開けたのではないか?と個人的には思っています。

障害者雇用では、企業側に様々な配慮や対策が要求されます。
また、意外と見過ごされがちですが、雇用される障害者側も様々な不便や不満を飲み込んで働く必要がありました。
ですが、テレワークの敷居が下がったことにより、障害者雇用の仕事にもさまざまなバリエーションが生まれれば、労使双方にとってWin-Winの結果が生み出せるのではないでしょうか?

2021年には障害者雇用率がさらに引き上げられることが決まっています。
それに加えて、2018年から精神障害者が障害者雇用率の算定対象になったこと、そして在宅勤務の一般化。
これは、就職を目指す精神障害者にとって、これまでにない追い風と言えます。

不謹慎かもしれませんが、発達障害を含む精神障害の求職者の方にとって、この状況が大きなチャンスになればと思います。

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